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2007年2月13日 (火)

エリザベート

昨秋『オクラホマ!』をご一緒させて頂いたTさんと、先日仕事の帰りに、たまたまお会いしました。
そのとき、今年は『エリザベート』イヤーだという話になり、「私が東宝の『エリザベート』を観たのは再演だったんですが、そのときから舞台の背景が殆ど電飾に変わっていて、安っぽく見えたのが嫌でたまらず、そのせいで作品の記憶があまりないんです」とお話したところ、Tさんは「宝塚ので良ければ観る?」と、宝塚月組『エリザベート』のビデオ(トート役・彩輝直の退団公演)を貸してくださいました(^-^)

【出演】
トート…彩輝直
エリザベート…瀬奈じゅん
フランツ・ヨーゼフ…初風緑
ルイジ・ルキーニ…霧矢大夢
ルドルフ…大空祐飛
マックス公爵…星原美沙緒
グリュンネ伯爵…磯野千尋
ルドヴィカ公爵夫人…夏河ゆら
ラウシャー大司教…光樹すばる
皇太后ゾフィー…美々杏里
エルマー・バチャニー…月船さらら
リヒテンシュタイン伯爵夫人…紫城るい
シュテファン・カロリィ…北翔海莉
ルドルフ(少年)…彩那音
マダム・ヴォルフ…嘉月絵理

19世紀末。ヨーロッパ随一の美貌を謳われた、オーストリア=ハンガリー帝国皇妃エリザベートが、イタリア人アナーキスト、ルイジ・ルキーニに殺害された。ルキーニは独房で自殺を図る。
煉獄の裁判所では、犯罪行為から100年も経ったにも拘わらず、暗殺者ルキーニを未だ尋問している。ルキーニは、エリザベートは死と恋仲だった、エリザベート自身が死を望んでいたと主張する。そして、それを証明するため、エリザベートと同時代を生きた人々を霊廟から呼び起こす。黄泉の帝王トート(死)が現れ、自らの皇后への愛を告白する。
時代は1853年に遡る。少女のエリザベートはバイエルン王女として自由を謳歌していた。ある時、綱渡りに挑戦しようとしたエリザベートは、ロープから落ち、意識不明となる。冥界に迷い込んだエリザベートにトートは一目で惹き付けられる。トートはエリザベートに生命を返してやる。そしてその愛を得ようと、彼女を追い続ける決意をする。こうしてエリザベートを巡る愛と死の輪舞(ロンド)が始まった。
ウィーンの宮廷では、若き皇帝フランツ・ヨーゼフが母親である皇太后ゾフィーの助言と指示のもと、広大な国を治めていた。ゾフィーはフランツと彼のいとこのヘレネとの結婚を望み、見合いを計画する。しかし、フランツが見初めたのは妹のエリザベートだった。1854年、ウィーンで二人の結婚式が行われる。まだ若く子供っぽい新皇后に呆れと不満を漏らす人々。そんな周囲の思惑をよそに、ワルツを踊る二人。トートは嫉妬を感じつつ二人を見つめ、ついにエリザベートに話しかける、「最後のダンスは俺のものだ」と。
古いしきたりと皇后としての務めをゾフィーに押し付けられたエリザベートはフランツに助けを求める。しかし彼は取り合おうとはしなかった。失望したエリザベートにトートは近付くが、エリザベートは屈しなかった。結婚2年目に生まれた子供さえ、ゾフィーに取り上げられたエリザベートは、ゾフィーへの憎悪の念を募らせていく。
オーストリアは相次ぐ戦争、チフスの流行、革命の足音と、不安な状況が続き、フランツは疲れ果てていた。彼はエリザベートに救いを求めるが、彼女は自分かゾフィーか、フランツに決断を迫る。そして自分の美しさを武器に人生を生き抜こうと考えたエリザベートは、惜しげもなく金を使い、ますます美貌に磨きをかけるのだった。一方、苦しい生活を強いられている民衆は、皇后への反感を増していった。トートは、反ハプスブルクを唱えるハンガリーの革命家エルマーたちをそそのかし、革命の気運を高めていく。
ついにフランツは、エリザベートのすべての要求を受け入れる。エリザベートはゾフィーとの確執に勝利したのだった。自分の力で生きていく自信をつけたエリザベートの輝くばかりの姿をトートが見つめていた。
1867年、ブタペストで戴冠式が行われ、エリザベートはハンガリー王妃となる。忙しいエリザベートは、幼い皇太子ルドルフを顧みる間もなく、そんな孤独なルドルフにもトートは近付いて行く。成人したルドルフは、エルマーたちに接触し、ハンガリーの独立運動を推し進める。しかしそれがフランツの知るところとなり、ルドルフの皇位継承は危ういものとなる。絶望したルドルフに近付いたトートは、彼の命を奪ってしまう。
失意のエリザベートは放浪の旅を続けた。そんなエリザベートをフランツが訪ねる。フランツはウィーンに戻るよう懇願するが、もはや二人の心が一つになることはなかった。
1898年、ジュネーブ。トートからナイフを渡されたルキーニが桟橋を行くエリザベートに襲いかかる。その瞬間、トートの存在に気付いたエリザベートは、その愛を受け入れるべく、ルキーニに向き直る。ナイフは左胸を刺した。トートはエリザベートを情熱的に抱きしめ、二人は天空へと昇っていくのだった。

Tさんには「東宝と演出が違うだろうから違和感があるかも」と言われましたが、違和感すら覚えないほどに帝劇で観たときの記憶がなくて、我ながらびっくりしました(^^;
組の舞台だったので、『オクラホマ!』で見た生徒さんが当然多く、マデレーネ(城咲あい)を見ると「ローリーがこんな姿に…」、ツェップス(越乃リュウ)が出てくると「エラーおばさん!このときはちゃんと男の役なのね!」と反応しながら楽しく観ました。ルキーニ役の霧矢大夢は、この役も『オクラホマ!』のジャッドも、二枚目のヒーローではないので、一度そういう役で観てみたいです。

宝塚に疎い私でも、普段男役をしている人がエリザベートを演じるという話は耳にしていました。確かに瀬奈じゅんのエリザベートは体格の良いエリザベートではありましたが、彼女が男役であるという先入観がなければ、そこまで気にならないで観られるエリザベートだったと思います。ただ、エリザベート役が出来る娘役が他にいなかったのか?また、そこまでして『エリザベート』を上演しなければならなかったのか?、という疑問が残りました。退団公演であることも含めて、色々事情があったのかもしれませんけど。
そして彩輝トート。記憶の隅にある山口祐一郎トートに比べたら歌は弱いのですが、妖しい雰囲気のステキなトートでした。プログラムの写真や退団後の写真などを見ると、トートの妖しさとは反対に、キュートな印象を受けたのが不思議です。
宝塚では子役を使わない為、ルドルフの少年時代も大人の女性が演じています。彩那音は見た目が愛らしく少年という感じだったのですが、子役が一生懸命歌っているのに弱いので、この点は東宝版のほうが良いかな、という気がしました。トートはエリザベートだけでなく、少年ルドルフにも近づいていき、後に成人した彼を自殺させますが、彩那音は彩輝直の実妹だそうで、絡みのある役が姉の退団公演でできて嬉しいだろうなぁ、と思いました。こんなふうに姉妹で同じ組に在籍することはよくあるのでしょうか?
役柄は厳しい人だけど、いかにも娘役らしい華やかな顔立ちの綺麗な人だなぁ、と気になったのが、リヒテンシュタイン伯爵夫人役の紫城るい。このときは月組でしたが、今は宙組で娘役トップスターなのですね。と言っても、トップスターの貴城けいとともに、なんと今日で退団なのだそうですが(宝塚のトップスターは、トップになるとすぐ退団してしまうという印象があるのですが、後が閊えているということ?)、私って見る目があるのかな?なんて思ってしまいました。

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2006年5月24日 (水)

贋作・罪と罰

シアターコクーンで昨年末に一度観た『贋作・罪と罰』。
21日深夜にやっていたWOWOWの録画をやっと観ました。
ドストエフスキーの「罪と罰」の主人公ラスコーリニコフを女性に置き換え、その親友として坂本竜馬を登場させる奇想天外な作品です(←いきなりネタバレ)。

幕末の江戸。江戸開成所の女塾生・三条英(はなぶさ・松たか子)は、日本初の女性官僚になるためだけに生きてきた。
「人間はすべて凡人と非凡人との2つの範疇に分かたれ、非凡人はその行動によって歴史に新しい時代をもたらす。そして、それによって人類の幸福に貢献するのだから、既成の道徳法律を踏み越える権利がある」
そのエリート意識から、金貸しの老婆(野田秀樹)を殺害する英。しかし、偶然そこに居合わせた老婆の妹までも手にかけてしまい、この予定外の殺人が、英の思想を揺さぶり彼女を苦しめる。
捜査官・都司之助(段田安則)は、英に疑いを抱き、執拗に追いつめていく。英の唯一の頼りは親友・才谷梅太郎(古田新太)だが、彼にもまた大きな秘密があった。
英のもとに婚約した妹・智(美波)と母・清(野田2役)が訪ねてくるが、妹の婚約者・溜水(たまりみず・宇梶剛士)は数々の黒い噂を持つ男。死んだと聞かされていた英の父が現れ、溜水が才谷に近づき、江戸崩壊の足音が聞こえ始める頃、江戸では革命を志す坂本竜馬の評判が高まり、彼を討とうとする手の者が暗躍していたが、竜馬の行方はなかなか知れない…。

シアターコクーンに行ったときに観られなかった老婆殺しのシーンを見られて良かった!というのも、年末の忙しさで遅刻してしまったのです(泣)。去年の観劇納めだったのに…。
で、その老婆殺しのシーンですが、2枚のブレヒト幕で遮られ、客席からもステージシートからも見えないようになっています。殺していい相手の殺害(老婆)はブレヒト幕の中で行われ、英を苦しめる予想外の殺害(老婆の妹)が観客の前で行われるというのは、何だか象徴的です。
舞台放映は、生の舞台のときより臨場感はなくなるけれど、アップで表情が見えるのが目の悪い私には嬉しい(^-^)劇場では泣かなかったのに、英が才谷と対峙する場面からラストまで、英と一緒になってボロボロ泣いてしまいました。張り詰めていた英の表情が、つきものが取れたように次第に和らいでいき、それを見つめる才谷の目が優しくてとても良いのです。

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