ゼロの焦点
Rちゃんと映画「ゼロの焦点」の試写会に行きました。
同じ日に東京国際映画祭でワールドプレミアがあったのですが、私達は残念ながらそれではなく、会場は九段会館です。でも、レトロな九段会館は作品の舞台となっている昭和30年代の雰囲気とも合っていたので良かったかも。
昭和33年、東京。
板根禎子(広末涼子)は母の絹江(市毛良枝)に勧められ、お見合いに臨んでいた。相手の鵜原憲一(西島秀俊)は寡黙で、年も禎子とは離れていたが、話はまとまり、二人は結婚式を挙げる。
東洋第一広告金沢営業所に赴任している憲一は、新婚旅行直後の12月1日、金沢での最後の仕事のため、金沢に向かう。後任に仕事を引き継いで、1週間で東京に帰る予定だった。
12月8日。金沢から憲一の荷物と手紙が届き、禎子は夫の帰宅を心待ちにしていた。しかしその日、憲一は帰ってこなかった。義兄の宗太郎(杉本哲太)は心配ないと言うが、禎子は、結婚早々消息を絶った夫を探しに金沢へ旅立つ。
憲一の後任の本多良雄(野間口徹)や金沢営業所の所長(本田博太郎)と会った禎子は、憲一の得意先であった室田耐火煉瓦会社に連れていってもらう。受付嬢の田沼久子(木村多江)の言動に引っ掛かるものを感じつつ、禎子は社長の室田儀作(鹿賀丈史)と夫人の佐知子(中谷美紀)に会う。後妻である佐知子は、日本初の女性市長を目指して金沢市長選に立候補している上条保子(黒田福美)を支援しており、室田家には佐知子の弟で売れない画家の鳴海亨(崎本大海)も同居していた。
夫の手掛かりを得られないまま、不安を募らせる禎子。そんな中、憲一の失踪と時を同じくして連続殺人事件が起こる…。
冒頭のお見合いのシーン。窓の外を眺めながら、禎子が憲一に言います。「ネオン、増えましたね」
2人の視線の先には銀座のネオンが復興の象徴のように輝き、お見合いの場のレストランには家族連れで食事をしている人たちもいて、平和そのもの。経済白書に謳われたように「もはや戦後ではない」のだと思える場面です(お見合いで、憲一が好きだと言ったあることが、彼の行く末を暗示しているような…。私のこじつけかな?)。
でも、戦争の傷や過去の記憶がもたらす苦しさが、事件の背景にあります。戦争の傷は決して癒えないのです。
華やかな銀座のネオンと、北陸の暗く荒れた海。
禎子と憲一の10歳の年齢差と、その年齢差からくる戦争の記憶のギャップ。
大学で英文学(ジェーン・エア)を学べた禎子と、生きていくためにパンパンにならざるを得なかった女たち。
そして、悲しい運命の女たちが夢見た新しい時代と現在の日本。
それらを対比させること、そして原作にはない人物を登場させることで(私は原作未読ですが、その役の方が、自分の役は原作にはないとブログに書いていました)、戦争のせいで犯人が背負わなければならなかったり、諦めなければならなかったりしたものがより明確にされていました。ミステリーではあるのですが、戦争の悲劇を描いたドラマだというのが一番の感想です。
実際、憲一失踪と連続殺人の謎は後半一気に解けてしまい、禎子の直感が解決に導いたかのような描かれ方なので、そこはちょっと興ざめでしたし。
この映画は、チラシに“アカデミー賞に輝く3人の女優(ミューズ)が共演”とあり、米アカデミー賞外国語映画最優秀作品賞受賞作「おくりびと」の広末涼子、「嫌われ松子の一生」で日本アカデミー最優秀主演女優賞を受賞した中谷美紀、「ぐるりのこと。」で同じく今年の日本アカデミー最優秀主演女優賞を受賞した木村多江が共演しています。
日本の賞とは言っても(しかも出来レースに思えるときもあるけど)、やはり最優秀主演女優賞に輝いている中谷美紀と木村多江は上手いと思いました。特に中谷美紀は、華やかな社長夫人という役柄もあってか、まるで主役のような存在感!終盤のアトリエの場面には圧倒されました。
広末涼子も決して悪いというわけではないので(新婚旅行の温泉シーンは色っぽかった!)、3人の女優に比べると男優陣の影が薄くなった感じです。本田博太郎や鹿賀丈史は胡散臭げで流石でしたけど(ちょっと勿体ない使われ方にも思えます)。
…こういう推理モノの感想を書くのは難しいですね。
でも、まあ、原作はロングセラーですし、映画化は2回目なので、ネタバレていても、その点はご容赦くださいね![]()
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