今夜は浅草寺で「第28回 台東薪能」がありました。
浅草寺で薪能を毎年やっていることはT嬢に教えてもらいました。今日はT嬢と、彼女の以前の同僚・えりさんという方と一緒に観る予定でしたが、肝心のT嬢が半休を取れず、3人バラバラに浅草に向かうことになりました。
かなり混むと聞いていたので、私は15時過ぎに浅草寺に着きました。まずはお参りを済ませ、本堂の裏手にある会場に向かうと、開場までまだ2時間近くあるのに既に何人も並んでいてビックリ。しばらく並んでいたら、係の人から整理券と雨天時の浅草公会堂の指定席券を渡されました。16:45までにここに戻るように、とのことでした。炎天下に立って並ぶ覚悟でいたのですが、急に暇になってしまい、新仲見世のマクドナルドで時間を潰し、16:30頃また浅草寺に戻りました。
開場時刻になり、整理券の番号順に中に入りました。通常の能舞台では鏡板に松の絵が描かれていますが、台東薪能では本堂の裏の銀杏の木がその代わりを務めています。48番目に入った私ですが、1人ということもあって、正面の4列目の席を確保できました。
←能舞台と揚幕、橋掛かり
開演15分前に、横浜能楽堂の山崎有一郎館長から演目の簡単な説明がありました。
私が能を初めて鑑賞したのは中学の課外授業のときです。学校で期末試験直後に無理矢理連れていかれたので、そのときは当然能には興味もなく…。ひたすら眠かった記憶があります。その後、私も大人になって日本の伝統芸能に興味を持ち始めましたが、2、3年前にセルリアンタワー能楽堂で茂山家の狂言を観たことはあるものの、能は中学のとき以来全くご無沙汰。山崎氏の解説を聞いていても、「シテって主役でいいんだっけ?『清経』では、ワキではなくツレに向かって演じるって言ってたけど、ワキとツレって何?」と頭のなかに疑問符ばかりが飛び交う始末です(^^;
吉住台東区長が正奉行、野田沢教育長が副奉行として裃で登場した後、火入れが行なわれました。新門鳶頭連中による木遣り・まといに乗っての火入れ式は、下町らしい風情があり、とても素敵でした。
能「清経」(観世流)
宇佐八幡の神託によって前途を見切り、月明りの柳ガ浦で入水し、不甲斐無い生涯を終えた平清盛。家臣の淡津三郎が事の子細を清経の妻に伝えます。嘆き悲しむ妻の夢の中に清経の霊が現れ、修羅の苦しみを伝えて舞うのでした。
【出演】
シテ(平清経)…坂真太郎
ツレ(清経ノ妻)…佐久間二郎
ワキ(淡津三郎)…舘田善博
大鼓…柿原弘和
小鼓…鵜澤洋太郎
笛…一噌隆之
後見…奥川恒治、弘田裕一
地謡…菅野貞男、桑田貴志、小島英明、古川充、遠藤喜久、中所宜夫、駒瀬直也、中森貫太
負け戦の恐ろしさや心細い心情を語る清経。お面なのにもかかわらず、次第に苦渋に満ちた表情に変わっていくように見え、不思議な感覚を覚えました。
ワキとツレの違いも、観ていて何となく分かりました。
「清経」の後、休憩時間になったので携帯を見ると、T嬢からのメールが。なんと残業で来られなくなってしまったらしい…。T嬢は事前に行なわれた薪能ワークショップにも参加して、今日を本当に楽しみにしていたのに、なんて不運なのでしょう…。
狂言「泣尼」(大蔵流)
先祖供養を頼まれたなまぐさ坊主は、説教を聞いて有り難がって泣く役の尼を連れて施主の家に向かいます。ところが、いざ肝心の説教が始まると尼は居眠りをしだしたではありませんか。僧は尼の目を覚まそうと苦心惨憺。やがて説教が済むと、尼は布施の分け前を迫ります。
【出演】
シテ(住持)…山本泰太郎
アド(施主)…山本則重
アド(尼)…山本則孝
施主に気づかれないように尼を起こそうとする僧の姿がコミカルで、笑いが絶えない作品でした。狂言は台詞も多いし、笑って楽しめるので、伝統芸能の中でも取っつきやすいですね。
能「鵜飼」(観世流)
石和川の畔で旅僧たちが出会った老鵜使いは、密漁の罪で極刑にかけられて死んだ者の亡霊でした。やがて閻魔大王が現れ、かつての僧への善行と法華経の功徳によって、鵜使いを極楽へ導いたと告げて消え去ります。
【出演】
シテ(尉・閻魔大王)…観世喜正
ワキ(旅僧)…森常好
ワキツレ(従僧)…森常太郎
間(里人)…山本則秀
後見…坂真太郎、駒瀬直也
地謡…桑田貴志、小島英明、古川充、遠藤喜久、奥川恒治、中森貫太、弘田裕一、中所宜夫
この頃になると、辺りも暗くなってきて、より一層幽玄な雰囲気を味わうことができました。長良川や石和の実際の鵜飼を見たことがないのですが、鵜飼の様子を表す「鵜ノ段」は、篝火の中で観るのが合っている気がします。
能楽堂は敷居が高く感じられますが、野外での薪能鑑賞はイベント感覚で足を運べるのが良いところ(暑くて暑くてたまらなかったのと、パイプ椅子の座り心地の悪さが辛かったですが…)。これを機に、能楽堂にもまた行ってみようかな?と思いながら開場を後にしました。
←ライトアップされた五重塔☆
伝統芸能に触れた後なので、和食でも食べたいところなのですが、T嬢が来られなかったため私とえりさんが会うことはなく、結局1人で神谷バーの並びにあるケンタッキーで夕飯を食べて帰りました。うー、淋しい!
T嬢、来年は行けるといいね♪
最近のコメント